ワンダーランド・クラブとカテドラル計画

外務省:第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議の概要と評価(平成13年12月)にある、児童ポルノとは何か?-第2回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議.pdfより、児童性虐待キロクブツの捜査事例を抜粋してみた。

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8. 取締の事例:ワンダーランド・クラブとカテドラル計画

カテドラル計画は1996年4月、アメリカ、カルフォル二アで開始され、国際的な取締りの歴史の中でも、最も大規模な計画へと発展した。この計画には、学ぶべき重要な点が多く含まれているので、詳細に検討する価値がある。

10歳の少女が、週末を友人宅で過ごすため遊びに行った。週末の間に、友人の父であるRは、少女を自分のコンピュータが置いてある部屋へ連れて行った。コンピュータにはカメラが接続されいた。そして、オーキッド・クラブと呼ばれている団体の会員がネットを通じてアクセスし、観察している前で、彼らの指示を受けながら、リアルタイムでカメラの前で少女を性的に虐待したのだ。その映像はコンピュータに録画され、その後Rはこの映像をインターネットのチャットルームで販売した。

数週間後、Rは別の児童に性的ないたずらを行った疑いで逮捕された。警察がRに最近の児童との接触について尋問した結果、先の10歳の少女の母親に、少女が最近、性的いたずら容疑をかけられている人物の家に滞在したことがあると注意喚起することができた。母親は少女と話し、何かがおかしいと気がついた。最終的に、母親の説得により、娘は何が起きたのかを打ち明け、その内容を地元の警察に通報し、Rの自宅からコンピュータを押収することができた。

Rには100年の懲役を命じる判決が下され、アメリカの他の地域にいた12名の男達も、オーキッド・クラブに参加していたために保護観察処分の判決を受けた。

しかし、Rのコンピュータの調査により、イギリス在住の3人の男との関連が浮かび上った。その中の一人、Bはサセックスに住むコンピュータ・コンサルタントであった。サセックス警察当局は、彼の自宅からコンピュータを押収し、世界中に180名の会員をもつ、さらに大規模なクラブの存在を明らかにする証拠をつかんだ。それが、ワンダーランド・クラブである。このクラブは高度に組織化されており、会長、書記、経営委員会、新規会員の審査手続きが存在し、彼らの活動を外部の目から守るために、5段階に及ぶセキュリティーを設置していた。クラブでは、複雑なパスワードと暗号技術が広く活用されていた。一連の捜査で、後に警察に押収された別のコンピュータの中には、暗号を解明できず、警察が見ることも、法廷に提出されることもできないデータが含まれていた。

警察は、1263人の児童の写真を確認することができたが、身元を確認できたのは、ごくわずかであった。この捜査計画を通じて、警察は75万枚の児童ポルノ画像と、約1800時間に及ぶ児童の性的虐待のデジタル化されたビデオを押収した。一人あたり、約18万以上の画像をコンピュータに取り込んでいたことになる。逮捕された男達の多くは、高い教育を受け、定職もあり、様々な分野で働いていたが、その多くはコンピュータやインターネット関連業界の関係者であった。

このクラブに入会を希望する者は、新しい児童ポルノの画像を1万枚製造しなければならない入会すると、虐待の対象となる新しい児童を見つけ出しその証拠として新しい画像を提供し自らの地位を上げることができる仕組みになっている

イギリスでは、会員10人が身元を特定され、逮捕されたが、うち9名が起訴された。その一人、Sは、他の会員から指示を受けながら、オンライン上でリアルタイムで児童を虐待していた。Sは、イギリス在住のほかの会員を、北イングランドにある自宅に招待し、彼の映画に登場する「スター」と呼ばれる児童に引き合わせた。Sは逮捕され、別個に裁判にかけられ、12年の懲役の判決が下された。逮捕された他の8人のうち、一人が自殺した。世界中で逮捕された107人のうち、裁きを受ける前に8人が自殺したと推定されている。そのうちの一人であるEは、警察が彼のコンピュータの暗号を解明できず、違法な画像を一枚も発見できなかったので、生きていたとしても恐らく起訴されることはなかったであろう。

イギリス警察当局がワンダーランドの会員を逮捕し、クラブを解散させるために必要となる捜査のために、世界規模の協力体制を作ることが、インターポールを通じて合意された。

インターポールの呼びかけにより、最初の会議が開催された。イギリス警察当局が保有する情報から、インターポールは46カ国におよぶ容疑者との関連や手がかりを導き出したが、うち15カ国がこの会議に参加した。ii会議により、容疑者が他の会員に警告し、証拠を隠滅する可能性を最小限に抑えるために、参加各国の警察が協力して容疑者の居住地に踏み込むこととなった。日時は1998年9月2日、グリニッジ標準時で04:00と決められた。計画が実行される直前になって、オランダとカナダが手を引いたため、アメリカ、イングランドおよびウェールズ、フランス、ベルギー、フィンランド、ノルウェー、スコットランド、スウェーデン、イタリア、ポルトガル、オーストリア、ドイツ、オーストラリアの13ヶ国が計画に参加した。オランダの警察当局は、後になって行動を起こし、国内で身元が特定できた容疑者を逮捕したが、カナダは行動を起こさなかった。

2001年半ばまでの時点で、最初に逮捕された107人のうち、世界中で50人が有罪判決を受け、22人が裁判開始にむけて待機中、8人が自殺、残りの27人については不明である。

世界中で、本件に関する司法手続きの結果はまちまちなものとなった。判決内容もさまざまであり、司法が、目の前に置かれた問題の深刻さを完全には理解していない証拠を示す結果となった。

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iiワンダーランド・クラブのメンバーが居住している国のうち、次の14ヶ国がカテドラル計画に参加した:オーストラリア、オーストリア、ベルギー、イングランド/ウェールズ、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、 ポルトガル、スコットランド、スウェーデン、アメリカ、オランダ(遅れて行動を起こした)。以下の 32 ヶ国にはワンダ ーランド・クラブのメンバーが居住していたが、カテドラル計画には参加しなかった:ブラジル、カナダ、チリ、クロ アチア、サイプラス、チェコ、デンマーク、ドミニカ共和国、アイルランド、エジプト、ギリシア、ニュージーランド、オマーン、パキスタン、ホンデュラス、インド、インドネシア、イスラエル、日本、勧告、マレイシア、マルタ、ペルー、 フィリピン、ポーランド、ロシア、シンガポール、スロヴェニア、南アフリカ、スペイン、スイス、トルコ。また、メンバ ーのうち 10 人については、居住国を特定できなかった。

この時点ではまだ「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(Wikipedia)の施行前であったため、日本の警察は計画に参加できなかったと思われる。

  1. 1998/09/02|カテドラル計画(日本不参加)
  2. 同年   |当時の与党だった自民・社民・さきがけ3党の議員立法で成立(wikipedia
  3. 1999/05/26|公布(同上)
  4. 1999/11/01|施行(同上)

同法の施行後、オーキッド・クラブやワンダーランド・クラブのような犯罪は、捕縛が可能となっている。直近の例↓

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